法律事務所が証拠保全撮影を外部のカメラマンに依頼するとき、最も重要なのは、単に写真撮影が上手いかどうかではありません。
一般的な出張撮影では、撮影者が撮影先へ事前に電話をして、集合場所や当日の流れを確認することがあります。通常の撮影であれば、むしろ丁寧な対応といえます。
しかし、証拠保全や法的手続に関連する撮影では、その善意による事前連絡が、手続の進行に影響する可能性があります。
証拠保全撮影を外部に依頼する場合は、撮影技術だけでなく、証拠保全の性質を理解し、決められた指示系統に従って行動できる撮影者を選ぶことが重要です。
証拠保全撮影は通常の出張撮影とは異なる
証拠保全や訴訟準備では、現場に残されている書類、画像資料、画面表示、設備、建物の状態などを、後日確認できる形で記録する必要があります。
外部カメラマンが必要になる代表的な場面には、次のようなものがあります。
- 医療過誤に関する証拠保全撮影
- カルテ、診療記録、看護記録などの撮影
- 電子カルテや院内システム画面の撮影
- CT、MRI、レントゲン等の画像資料の撮影
- 契約書、帳票、業務資料などの大量撮影
- 建物、設備、物件、施工状況等の記録撮影
- 訴訟準備や申立資料の作成に必要な現場撮影
こうした撮影では、「きれいな写真を撮ること」だけが目的ではありません。
どの資料を、どの順番で、どの範囲まで撮影したのかが後から確認できるように、指示された対象を確実に記録することが求められます。
また、撮影者が法的な必要性を自己判断するのではなく、弁護士や当日の指示者の指示に従って撮影することが重要です。
証拠保全撮影で起こりやすい失敗
証拠保全撮影の経験がない撮影者に依頼した場合、撮影技術とは別の部分で問題が起こることがあります。
撮影先に事前連絡をしてしまう
一般的な出張カメラマンは、撮影場所、入館方法、駐車場所、当日の担当者などを確認するため、撮影先へ直接電話をすることがあります。
通常の撮影では自然な行動ですが、証拠保全では、撮影先や相手方に事前に連絡してはいけない場合があります。
撮影者には、撮影先へ自己判断で連絡せず、連絡が必要な場合は必ず依頼元へ確認することを共有しておく必要があります。
撮影対象を自己判断で省略してしまう
撮影者が現場で「同じような書類だから全部撮らなくてもよいだろう」「この画面は先ほど撮った内容と同じだろう」と判断し、撮影対象を省略してしまうことがあります。
しかし、その資料が法的に必要かどうかを、撮影者が判断することはできません。
撮影者に求められるのは、共有された撮影対象を、指示された範囲で確実に記録することです。
不明点を相手方の担当者に直接確認してしまう
撮影対象が見つからない場合や、どの画面を撮ればよいか分からない場合に、撮影者が現場の担当者へ直接質問してしまうことがあります。
現場での確認先や指示系統が決まっていないと、撮影者は誰に確認すべきか判断できません。
不明点が出たときは誰に確認するのか、事前に一本化しておくことが重要です。
写真は撮れていても、後から確認しにくい
大量の書類や画面を撮影した場合、写真が時系列に並んでいるだけでは、どの資料を撮影した写真なのか分かりにくくなることがあります。
資料ごとのフォルダ分け、ファイル名、撮影順序、全体写真と詳細写真の組み合わせなど、納品後の確認方法まで考えておく必要があります。
外部カメラマンを選ぶときの7つの確認事項
法律事務所が証拠保全撮影を外部へ依頼する場合は、少なくとも次の7項目を確認しておくことをおすすめします。
1.証拠保全や法的手続に関連する撮影経験があるか
一般的なイベント撮影、商品撮影、建築撮影の経験だけでなく、証拠保全や訴訟準備に関連する現場撮影を理解しているか確認します。
2.撮影先へ自己判断で連絡しないか
撮影先への事前連絡が必要かどうかを撮影者が判断せず、必ず依頼元の指示に従うことを確認します。
3.当日の指示系統に従えるか
現場で誰の指示に従うのか、不明点が出た場合に誰へ確認するのかを理解し、その指示系統に沿って行動できるか確認します。
4.撮影対象を自己判断で省略しないか
撮影者自身が必要性を判断するのではなく、共有された対象を指示どおりに撮影できるか確認します。
5.大量の書類や画面撮影に対応できるか
カルテ、帳票、契約書、電子カルテなど、撮影対象が大量になる場合に必要な機材、予備バッテリー、記録媒体等を準備できるか確認します。
6.データの取扱いに配慮できるか
撮影対象には、個人情報、医療情報、営業上の情報などが含まれることがあります。撮影データの保存、受渡し、削除方法を確認します。
7.希望する形式で納品できるか
写真の形式、納品方法、フォルダ分け、ファイル名、納期など、案件に必要な形式で納品できるか確認します。
撮影前に共有しておくべき情報
証拠保全撮影を依頼する際は、撮影者にすべての事件内容を説明する必要はありません。
一方で、現場で迷わず撮影できるよう、撮影に必要な情報は事前に整理しておく必要があります。
事前共有事項のチェックリスト
- 撮影日時
- 撮影場所
- 集合場所
- 入館方法
- 撮影先への事前連絡の可否
- 撮影対象の種類
- 撮影する資料や画面の量
- 撮影対象の優先順位
- 撮影してはいけない範囲
- 撮影可能な時間
- 当日の指示者
- 不明点が出た場合の確認先
- 希望する納品形式
- 希望納期
撮影対象が多い場合は、対象資料の名称、所在、対象期間、優先順位などを記載した撮影リストを作成しておくと、撮影漏れを防ぎやすくなります。
医療過誤・電子カルテ撮影の注意点
医療過誤に関する証拠保全では、紙のカルテだけでなく、電子カルテ、検査結果、CT・MRI等の画像資料、看護記録、処方記録、説明資料などを撮影することがあります。
電子カルテや院内システムを撮影する場合は、特に次の点を決めておく必要があります。
- 誰がシステムにログインするのか
- 誰が画面操作を行うのか
- どの患者情報や期間を表示するのか
- どの画面を撮影するのか
- スクロールが必要な画面か
- 画像の表示倍率をどうするか
- 撮影してはいけない情報が含まれていないか
外部カメラマンは、医療機関のシステムへログインしたり、必要な医療情報を判断して表示したりする立場ではありません。
現場で指定された方が画面を操作し、撮影者は指示に従って表示された内容を記録する形を基本とします。
撮影後のデータ整理と納品
証拠保全撮影では、撮影を終えることだけでなく、納品されたデータを後から確認しやすいことも重要です。
撮影前に、次の事項を確認しておきます。
- 写真データのファイル形式
- オンラインストレージ等の納品方法
- 希望納期
- 撮影枚数の見込み
- 資料ごとのフォルダ分け
- ファイル名の指定
- 全体写真と詳細写真の整理方法
- データ受渡し後の保存・削除方法
特別なフォルダ分けやファイル名指定が必要な場合は、撮影後ではなく、撮影前に共有しておくとスムーズです。
Goofitが対応できる証拠保全撮影
Goofitでは、法律事務所、企業法務、訴訟準備中の方に向けて、証拠保全や法的手続に関連する現場撮影をサポートしています。
- 証拠保全に関連する現場撮影
- 医療過誤に関するカルテ・画像資料の撮影
- 紙資料、契約書、帳票、記録類の撮影
- 電子カルテ、システム画面、Web画面の撮影
- CT、MRI、レントゲン等の画像資料の撮影
- 設備、建物、物件、現場状況の記録撮影
- 訴訟準備や申立資料の作成に関連する撮影
撮影対象、撮影場所、撮影時間、資料の量、希望する納品方法などを確認し、案件に応じた撮影方法をご案内します。
Goofitが行うのは、現場での撮影・記録業務です。特定の資料が法的手続において必要または十分であるかといった法的判断は行っておりません。
撮影対象や手続上の必要性については、ご担当の弁護士または法律事務所にてご確認ください。
まとめ
法律事務所が証拠保全撮影を外部カメラマンに依頼する場合、撮影技術だけで撮影者を選ぶことはできません。
撮影先へ自己判断で連絡しないこと、当日の指示系統に従うこと、撮影対象を省略しないこと、撮影後のデータを確認しやすい形で納品することなど、通常の出張撮影とは異なる対応が求められます。
特に重要なのは、「注意事項を説明すれば大丈夫」と考えるのではなく、証拠保全や法的手続に関連する現場撮影を理解している撮影者を選ぶことです。
Goofitでは、法律事務所や企業法務からのご相談を受け、証拠保全・訴訟準備等に必要な現場撮影をサポートしています。
